1905年09月02日 やりきれない悲しみと怒り

社会・世相

引用:新聞集成明治編年史 第十二卷

1905年09月02日 報知新聞
国民は黙っていられない
国民の声
▲ちくしょう、ちくしょう、なんというザマだ、なんという失態だ。世界に並ぶ者のない勝利を収めた日本をして、世界に並ぶ者のない大屈辱を受けさせるとは。元老は国を売り、閣僚は天皇を屈服させた。これを国の大罪人と言わずして、いったい誰を大罪人と言うのか。(憤怒する市民)
▲山本(陸相)も寺内(陸軍大臣)もいるというのに、なぜ軍人たちの大功績を台無しにする大幅な譲歩の決定に賛成したのか。まったく憤慨の極みだ。(戦死者遺族)
▲元老や内閣からは官位も勲章も取り上げるべきだ。論功行賞などもってのほかだ。(怒りの市民)
▲ロシアにとっての最大の功労者は第一に日本満洲軍参謀長・児玉源太郎、第二に日本参謀総長・山縣有朋、第三に日本の総理大臣・桂太郎、第四に日本の外務大臣・小村寿太郎だ。この四人のロシアに対する功績は、リネヴィッチ(ロシア軍司令官)らの功績よりはるかに大きい。(憤激する国民)
▲口はあっても何も言えぬ「猿回しの猿」か。かつらをかぶって芸をしているようなものだ。(皮肉る市民)
▲今回の講和条件は見事な手際、大成功ではないか。我が国から対馬を差し出し、さらにロシアに賠償金まで献上しなかっただけでも、これはひとえに桂総理閣下と小村外相閣下のおかげだ。国民は感謝せよ、大いに感謝せよ。(皮肉を込めた市民)
▲樺太の半分を放棄し、賠償金の要求も取り下げる? 本当なのか、事実なのか。ああ、なんてことだ!(驚愕する市民)

当初1.8億円と思われた賠償金もゼロであることが明らかになり、国民の悲しみや怒りの大きさが分かる記事です。

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