(1907年5月28日 福岡日日新聞)
先ごろ、韓国皇太子の結婚式に際し、特使として派遣された田中光顕(宮内大臣)は、その機会に韓国の歴史的な国宝である白玉製の五重塔に目をつけた。この塔は2基あり、そのうち京畿道豊徳府にあった1基を受け取る手続きを進めた。そして2月4日、京城在住の古物商を使って郡民の抵抗を排除し、多少の武力も用いて仁川へ運び出し、3月15日に東京へ到着した。
現在、この塔は上野の博物館に保管されている。この塔は約1000年前に中国から韓国へ贈られたもので、韓国の人々はその破片を服用すれば病気が治ると信じ、「薬塔」と呼んで崇拝していた。その価値は約200万円ともいわれる非常に貴重な品である。
しかし、この受け取り手続きには疑問が生じており、現在アメリカでもこの問題について激しい議論が起こっている。また、アメリカに滞在中の黒木為楨も、この件で思いがけない迷惑を受けているという。
⚫︎ 文化財持ち出し問題の発生
この事件は、単なる贈答問題ではなく、文化財の持ち出し(略奪・収奪)問題として重要です。
⚫︎ 日韓関係と力関係
当時の韓国は第二次日韓協約により日本の保護国となっており、対等な外交関係ではない状況でした。
そのため:
- 「贈与」とされていても
- 実際には強制的要素が含まれる
可能性が高いと見られます。
⚫︎ なぜ問題になったのか
記事のポイントは2つあります:
① 手続きの不正疑惑
- 地元住民が抵抗
- 武力で排除
→正当な贈与とは言い難い
② 宗教的・文化的価値
- 民衆が信仰対象として崇拝
→単なる美術品ではない
⚫︎ 国際問題化(アメリカ)
当時のアメリカは:
- フィリピン統治などを通じ東アジアに関与
- 国際世論の形成に影響力
を持っていました。
この問題は「日本の対韓政策への批判材料」となった可能性があります。
⚫︎ 帝国主義時代の文化財移動
この事件は、世界的にも共通する現象です:
- エジプト → 欧州へ遺物流出
- 中国 → 列強による文化財持ち出し
→日本も同様の行動を取っていた
⚫︎ 日本国内の位置づけ
この塔が保存されたのは上野の博物館、すなわち東京国立博物館です。
帝国の威信を示す展示物として扱われた可能性があります。
⚫︎ まとめ
- 韓国の歴史的文化財(白玉塔)が日本へ移送
- 手続きに強制性・不正の疑い
- 韓国民の信仰対象でもあった重要物
- アメリカでも問題化し国際的議論に発展
- 帝国主義時代の文化財収奪問題の一例
これは「文化財をめぐる権力関係と国際世論」を示す重要事件といえます。


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