(1907年2月25日『新聞日本』)
日本酒は、ビールでもなく、蒸留酒でもなく、また中国の三鞭酒のような酒でもない。では、いったいどの種類の酒として課税すべきなのか―これは長い間、アメリカ合衆国財務省の悩みの種であった。
ところが明治39年(1906年)7月11日、サンフランシスコにおいて、ウィリアム・W・モロー(米国巡回裁判所判事)は次のような判決を下した。
日本酒は蒸留酒ではないのだから、1瓶につき50セントの関税を課すべきではない。またビールでもないのだから、1瓶につき20セントの税を課すべきでもない。結局、日本酒は既存のどの酒類にも当てはまらないため、「分類未定の品目」として扱うべきである。したがって、価格の20%(1瓶につき約10セント)を関税とするのが妥当である。
この判決により、アメリカ政府はこれまで仮に課していた高い税率によって徴収した清酒輸入税のうち、輸入業者に返還すべき過徴収額が約150万円にも達することになった。さらに今後も大きな税収減が見込まれるため、財務省の鑑定官はただちにアメリカ合衆国巡回控訴裁判所へ控訴した。そのため、この問題は現在もなお係争中であるという。
写真・図引用:https://www.nadagogo.ne.jp/history/2.html?utm_source=chatgpt.com
◾️ 日本酒の海外輸出の拡大
19世紀末から20世紀初頭、日本では
- 清酒
- 醤油
- 茶
などの輸出が増え始めた。
特にアメリカ西海岸では
- 日本人移民
- 日本食文化
の広がりにより日本酒の需要が増えていた。
主な輸入港は
- サンフランシスコ
であった。
◾️ アメリカ関税制度の問題
当時のアメリカの酒類関税は主に次の3種類に分類されていた。
| 種類 | 税率 |
| 蒸留酒(ウイスキーなど) | 高税 |
| ビール | 中税 |
| ワイン | 中税 |
しかし日本酒は
- 醸造酒である
- しかしワインでもビールでもない
という分類不能の酒だった。
そのため税関では、蒸留酒並みの高税を課すかどうかが争われていた。
◾️ 米国の「日本酒裁判」
この裁判は、Sake Tariff Caseとも呼ばれる。
判決は
- 日本酒は蒸留酒ではない
- 新しい分類として扱うべき
というもので、当時としてはかなり合理的な判断だった。
しかし政府は税収減を理由に控訴した。
◾️ まとめ
この記事は、日本酒をアメリカでどの酒類として課税するかという問題を報じたものである。
重要ポイント
- 日本酒は米国の酒類分類に当てはまらない
- 裁判所が「未分類品目」と認定
- 関税は従価20%に引き下げ
- 米政府は税収減を恐れ控訴
この問題は日本酒が国際商品として広がり始めた証拠でもある。
つまり、1900年代初頭にはすでに日本酒は世界市場で認識され始めていたのである。

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