(1907年2月20日『平民新聞』)
女性にも男性と同じように政治運動の自由を与えるべきだとして、先ごろ治安警察法第五条の改正を求める請願を衆議院に提出した進歩的女性たちの一団は、以前本紙で報じたとおり、この請願がいよいよ衆議院本会議で取り上げられる日に、多数で傍聴に出かける予定だという。
これについて、福田英子が発行する雑誌『世界婦人』には、次のように書かれている。
「その後、各地の同志から署名済みの請願書が続々と届きましたので、これを取りまとめ、経験豊かな今井歌子姉に請願書案の清書や製本をお願いしました。すると11日午後5時、同姉の手によって、衆議院議員の江原素六氏のもとへ提出されたそうです。まもなく請願委員会の議題に上るものと思われます。
本会議で議題となる際には、私たち同志の女性がこぞって傍聴に出かけたいと思います。英国議会における女性たちの行動ほど激しいものではありませんが、これも一種の示威行動となり、議案の通過にも大いに役立つことでしょう。日時がわかりましたら、万障を繰り合わせてぜひご出席ください。なお日時や集合方法は追って本誌でお知らせします。」
本紙もまた、その日時や集合方法がわかり次第、紙面で報道するつもりである。志ある女性たちは、ぜひ進んでこの運動を助けてほしい。
写真・図引用:
◾️ 女性の政治活動を禁止した「治安警察法」
1900年に制定された治安警察法の第5条は次のような内容だった。
- 女性は政治集会に参加できない
- 女性は政治結社に加入できない
- 女性は政治演説をしてはならない
つまり、女性は政治活動そのものを法律で禁止されていた。
この法律は
- 社会主義運動
- 労働運動
- 女性運動
を抑える目的で作られたものだった。
◾️ 明治期の女性解放運動
この記事の時期(1900年代)は、日本で最初期の女性解放運動が始まった時代である。
中心人物の一人が「福田英子」で、彼女は
- 自由民権運動
- 社会主義運動
- 女性解放運動
に関わった革命的活動家だった。
また請願提出を支援した政治家が「江原素六」で、彼は
- キリスト教思想
- 民権思想
の影響を受けた進歩的議員だった。
◾️ イギリスの婦人参政権運動の影響
記事中にある「英国議会の婦人の行動」とはイギリスのサフラジェット運動を指す。当時のイギリスでは女性参政権を求めて
- 議会デモ
- 逮捕
- ハンガーストライキ
などの激しい運動が行われていた。
代表的活動家は「エメリン・パンクハースト」である。
日本の女性運動はこの英国運動に刺激を受けていた。
◾️ まとめ
この記事は、日本初期の女性政治運動を伝える重要な史料である。
当時の状況は次の通り。
- 女性は法律で政治活動を禁止されていた
- 女性活動家が治安警察法改正を請願
- 女性たちが議会傍聴で示威行動を計画
- イギリスの婦人参政権運動の影響を受けていた
しかし、この要求が実現するのはかなり後になる。
日本で
- 女性の政治集会参加が認められる → 1922年
- 女性参政権 → 1945年
つまりこの記事は、日本女性参政権運動の最初期の一場面を記録したものなのである。

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