1907年06月06日 乱劇!弁護士会の会長争い

1907年

(1907年6月6日 萬朝報)
 弁護士会の会長選挙は、菊池武夫を推す「協会派」と、磯部四郎を推す「非協会派」との対立となり、昨日ついに決戦の日を迎えた。会場となった本郷座では、その争いの様子がまるで芝居のように激しく、高田一派の演劇以上の騒ぎであった。当日の様子を記す。
 ■本郷座前の警備
 本郷座は翌日から雲右衛門の浪花節興行が予定されており、華やかに装飾されていたが、入口は幅の広い正面を板で二重にふさぎ、わずかに二人ほど通れる隙間だけを出入口として、万一の事態に備えていた。まるで嵐が来る前のような緊張した雰囲気であった。
(後略)

記事引用:https://dl.ndl.go.jp/pid/1920436/1/157

写真・図引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/菊池武夫_(法律家)

⚫︎ 弁護士会内部の派閥対立

この事件は、単なる選挙ではなく、弁護士会内部の深刻な派閥抗争を示しています。

⚫︎ 「協会派」と「非協会派」

対立の構図は:

  • 協会派(制度重視・既存組織寄り)
  • 非協会派(反主流・改革志向)

いわば「体制派 vs 反体制派」でした。

⚫︎ なぜここまで激化したのか

当時の弁護士は:

  • 近代法制度の担い手
  • 社会的影響力が急拡大

していました。(会長職=強い権力)

そのため:

  • 利益 - 人事 - 政治的影響力

をめぐり対立が激化しました。

⚫︎ 「劇場」での選挙という異様さ

会場が本郷座であったことも象徴的です。

当時は:

  • 公的施設が未整備
  • 大規模集会は劇場で実施

しかし結果的に、本当に“芝居のような騒動”になりました。

⚫︎ 暴力化寸前の政治文化

入口を封鎖し警戒している描写は、衝突・乱闘の危険を示します。

これは:

  • 明治期の政治文化
  • 直接行動・群衆政治

の特徴でもあります。

⚫︎ 近代日本の「法」と現実

興味深いのは、法を扱う弁護士自身が混乱状態である点です。

これは、

  • 制度は近代化
  • 社会はまだ過渡期

というギャップを象徴します。

⚫︎ まとめ

  • 弁護士会会長選をめぐり激しい派閥争い
  • 菊池武夫派 vs 磯部四郎派
  • 会場は劇場で、厳重警戒の異様な雰囲気
  • 近代法制度の担い手内部でも対立が激化
  • 明治期の政治文化の未成熟さを反映

これは「近代制度と現実社会のギャップ」を示す象徴的事件といえます。

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