1906年09月18日 無線電信の発達により、伝書鳩が失業

1906年

引用:新聞集成明治編年史 第十三卷 P.144

(1906年9月18日、東京朝日新聞)
伝書鳩の使用中止
 横須賀鎮守府でこれまで使用されてきた軍用伝書鳩は、無線電信が実用化・使用されるようになった結果、自然と不要なものとなった。このため、伝書鳩の廃止については、しばらくの間、海軍大臣の命令を待っていたが、このたび正式に廃止が決定した。
 これにより、二百数十羽の鳩は、近いうちに横須賀鎮守府から払い下げ(民間に売却)される予定である。

◾️ 軍事通信の転換期

 1906年(明治39年)は、日本の軍事通信が前近代的手段から近代的電気通信へ移行する節目にあたります。
それまで軍では、
  ・伝令
  ・旗旒信号
  ・伝書鳩
といった手段が併用されていました。
 特に伝書鳩は、敵に傍受されにくく、戦場や艦船間通信でも一定の信頼性があり、各国軍隊で重用されていました。

◾️ 無線電信の急速な実用化

 日露戦争(1904–1905年)では、無線電信(マルコーニ式など)が実戦で大量に使用され、
  ・艦隊間通信
  ・陸海軍の連絡
  ・遠距離指揮命令
において大きな効果を上げました。

 日本海海戦でも、無線電信は作戦運用の中核を担い、戦後、海軍では無線通信の整備・標準化が急速に進められました。

◾️ 横須賀鎮守府の役割

 横須賀鎮守府は、
  ・呉・佐世保・舞鶴と並ぶ四大鎮守府の一つ
  ・首都圏防衛と艦隊運用の中枢
であり、通信技術の更新も最優先で進められていました。

 この記事は、その横須賀鎮守府において、
  ・伝書鳩が制度として不要になった
  ・無線電信への完全移行が象徴的に示された
ことを伝えています。

◾️ 「失業」という表現の意味

 見出しの「傳書鳩=失業す」は、
  ・機械化・技術革新によって仕事を失う存在
  ・人間社会の労働問題になぞらえた擬人化表現
です。

 同時代には、
  ・人力車夫 vs 電車
  ・手工業者 vs 機械工業
といった「失業」への不安が社会問題化しており、伝書鳩の記事は、技術進歩がもたらす光と影を軽妙に示す社会面記事といえます。

◾️ 払い下げの行方

 「払下げ」とは、
  ・軍や官庁が不要となった物品を
  ・民間に売却・譲渡すること
を指します。

 この場合、伝書鳩は、
  ・鳩レース
  ・個人の飼育
  ・通信研究や趣味
などに回された可能性があります。

◾️ まとめ

 この記事は、
  ・無線電信という最先端技術の社会的浸透
  ・軍事の近代化が日常風景に影響を与える様子
  ・「技術革新と失業」という近代日本の重要テーマ
を、短い記事の中で象徴的に伝えています。

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