(1907年5月13日 東京日の出)
麹町区内では、堕落した学生たちが徘徊し、少年に対して性的な加害行為を行っているとして、麹町警察署の小出警部が中心となって取り調べを行っていた。
その中で、一昨日の午後10時ごろ、富士見町で元航海学校生徒であり、現在は問題人物とされている金子⚫︎太郎(19歳)が、同僚の学生たち(月田⚫︎左之助・安田⚫︎郎・青地⚫︎士雄)と口論の末に争いとなり、4人とも警察に連行された。
取り調べの結果、金子は前年9月頃から、小学校生徒(水元⚫︎郎・14歳)に対して性的な加害行為を行っていたことが判明した。また、月田らはその事実を知り、その少年を「貸さない」として金子と争ったことが明らかになった。月田らは厳重注意のうえ釈放されたが、金子は5日間拘留された。
また別件として、成城学校生徒の佐々木⚫︎道(20歳)が別の少年に対して同様の行為を行ったことが発覚し、両者とも警察に連行されたが、将来を戒めるとして釈放された。
近頃このような不良学生が徘徊しているため、子どもを持つ家庭は注意すべきである。
⚫︎ 明治期の都市化と「青年問題」
この記事は、単なる事件報道というよりも、明治後期に広がった「青年の風紀問題」を象徴しています。
この時代、日本では:
- 都市化の進展
- 学生人口の増加
- 寄宿・下宿生活の拡大
が進みました。
その結果、家庭や地域から離れた若者の統制が弱まるという問題が生じます。
⚫︎ 「男色」の歴史的文脈
記事にある「男色」は、近世以前の日本では:
- 武士社会
- 寺院文化
などで一定程度存在していました(いわゆる衆道文化)。
しかし近代になると:
- 西洋的な性道徳の導入
- 近代国家による風紀管理
により、「逸脱・犯罪」として強く取り締まられる対象へと変化します。
⚫︎ この記事の重要なポイント
この事件の本質は単なる「風紀の乱れ」ではなく、未成年への性的加害(児童虐待)です。
当時の報道では「男色」とまとめられていますが、
- 加害者=学生
- 被害者=少年
という構図が明確であり、現代的には重大犯罪に該当します。
⚫︎ 警察と社会統制の強化
このような事件を受けて:
- 警察の監視強化
- 学校の規律強化
- 家庭への注意喚起
が進められました。
→近代国家が「私的領域(性・家庭)」にも介入していく過程
⚫︎ メディアの役割
記事の最後の一文「父兄は注意せよ」は、新聞が社会規範を形成する役割を担っていたことを示しています。
⚫︎ まとめ
- 学生による少年への性的加害事件が発覚
- 都市化と学生増加による風紀問題の表面化
- 近世的な男色文化から近代的規制への転換
- 国家・警察による社会統制の強化
- 新聞が道徳的警告を発する役割を担う
これは「近代日本における性・若者・統制」の問題が交差した事例といえます。

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