(1907年4月16日、新聞日本)
第二回ハーグ平和会議は、来る6月15日から開かれる予定である。
これに先立ち、ロシア帝国政府は、次のような内容の提案を各国に送付し、すでに日本政府にも届いているという。
一、各国間の紛争を平和的に仲裁するためのハーグ決議を改正し、紛争を国際的な予審委員会に付託すること。
二、1899年の陸戦法規および慣習に関する決議の内容を補い、戦闘開始の条件をより明確にするとともに、陸上における中立国の権利について、新たに規定を設けること(従来の決議は期限が切れているため)。
三、海戦については、次の事項を新たに決議すること。
(甲)商船を軍艦に転用すること
(乙)海上での特殊作戦(港湾の砲撃、非武装都市への艦砲射撃、水雷〔機雷〕の敷設)
(丙)戦争開始時に、交戦国の商船が中立港や敵国港から退去するための猶予期間の問題
(丁)海上における交戦国の私有財産の扱い
(戊)海戦における中立国の権利と義務、戦時禁制品、および中立港における交戦国艦船の扱い
四、ジュネーヴ条約を海戦にも適用できるよう、ハーグ決議を補足すること。
● ハーグ平和会議とは何か
ハーグで開催された国際会議で、戦争のルールと平和的解決を議論する初の本格的枠組みでした。
- 第1回:1899年
- 第2回:1907年(本記事)
・・・現代の国際法・国際機関(例:国際司法裁判所)の原型
● なぜロシアが提案したのか
日露戦争での敗北後、ロシアは
- 国際的な影響力の回復
- 軍事衝突の抑制
- 自国の立て直し
を狙っていました。
・・・「平和の提唱者」として外交的主導権を取り戻そうとした
● 議題の本質:戦争のルール作り
この記事に並ぶ議題は、現在の国際人道法の核心に直結します。
1)戦争開始のルール
- 宣戦布告の明確化
- 突然の攻撃の制限
・・・後の国際法の基本原則へ
2)中立国の権利
- 中立国の領土・港湾の扱い
- 商船の保護
・・・小国の安全保障に直結
3)海戦の規制
特に重要なのは以下:
- 商船の武装化(後の仮装巡洋艦問題)
- 非武装都市への砲撃
- 機雷の使用
・・・20世紀の総力戦で重大問題に発展
4)人道規範の拡張
ジュネーヴ条約を海戦に適用する試みは、「戦争にもルールがある」という思想の拡大
● 限界と歴史的評価
これらの試みは重要でしたが、
- 強制力が弱い
- 大国の都合で無視される
という問題がありました。
実際、第一次世界大戦では多くが破られる
しかし、現代国際法の出発点として極めて重要
■ まとめ
- 1907年のハーグ平和会議に向け、ロシアが具体的な国際法整備案を提示した。
- 内容は、戦争の開始・海戦・中立国・人道規則など広範囲に及ぶ。
- 背景には日露戦争後の国際秩序再編がある。
- これらの議論は、現代の国際法・戦争規制の基礎となった。

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