(1907年3月26日・時事新報)
近年、日本だけでなく欧米各国においても、ジャガイモ(馬鈴薯)の需要は非常に増加している。特にイギリスでは、年間の生産額が実に2億円にも達しているという。日本においても近ごろ需要の増加とともに、作付面積も広がってきており、特に
北海道、埼玉県、愛知県、宮城県、青森県、福井県
などでは非常に有望視されている。
これらの地域ではさらに奨励策が進められた結果、最近では多少ながら輸出も行われるようになり、有望な産業であることが確実になってきた。そのため政府当局もこの産業の発展に力を尽くすはずである。
しかしながら、ジャガイモには特有の疫病が流行することがあり、一度これに感染すると、ほとんど収穫が得られない場合もある。したがって、その予防についての問い合わせなどには、十分な注意と支援が与えられる見込みである。
写真・図引用:https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/imo/siryou.html
◾️ 馬鈴薯(ジャガイモ)の普及
ジャガイモは江戸時代に伝来しましたが、本格的に普及するのは明治以降です。
- 寒冷地でも栽培可能
- 収量が多い
- 主食・加工原料として有用
という特徴から、近代農業に適した作物でした。
◾️ 欧米の影響と需要拡大
記事が言及するように、欧米ではすでに重要な主食・商品作物でした。
特にイギリスでは、
- 都市労働者の食料
- 工業化社会の基盤食料
として大量消費されていました。
また、19世紀には、アイルランドのジャガイモ飢饉が発生し、ジャガイモの重要性と同時にリスクも広く認識されました。
◾️ 日本における産地形成
明治期の日本では、特に
- 北海道(大規模農業)
- 東北・北陸(冷涼気候)
が主要産地として発展しました。
これは
- 開拓政策
- 食糧増産政策
と密接に結びついています。
◾️ 輸出作物としての期待
記事では「輸出」が言及されており、これは重要なポイントです。
明治政府は
- 外貨獲得
- 農産物の商品化
を進めており、ジャガイモもその候補の一つでした。
5. 疫病リスク(疫病=ジャガイモ疫病)
ここでいう「疫病」とは、ジャガイモ疫病を指します。
特徴:
- 湿潤環境で流行
- 作物が壊滅する可能性
このため、近代農業には「病害対策」が不可欠という認識が広がっていきました。
■ まとめ
この記事の要点は次の通りです。
- ジャガイモ需要が世界的に増加
- 日本でも作付面積が拡大し、有望な農産物となる
- 一部では輸出も開始され、産業化の兆し
- しかし疫病リスクが大きな課題
つまり、馬鈴薯は近代日本農業の成長作物であると同時に、科学的農業の必要性を示す存在であったと言えます。

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