1905年10月23日 大阪瓦斯会社開業

1905年

引用:新聞集成明治編年史 第十二卷 P.515

〔明治38年10月23日、時事新報〕
既報のとおり、大阪瓦斯会社が松島町で行っていた埋設管の浸水による障害工事はすでに復旧したため、このほどいよいよ開業し、屋内への引き込み管の取付工事が完了した家庭から点灯を開始した。
現在、需要の申込件数は一万件以上に達しており、そのうち契約が成立したのは約五千件。その中で器具の取付工事が完了したものは三千二百件であり、多くは照明用である。その結果は良好であるという。
なお、来る24日には各実業家や新聞記者を中之島公会堂に招き、さらに25日・26日の両日には府市会の理事者や名誉職員を岸松館に招いて、開業披露の宴会を催す予定である。(大阪甘一日電話)

1. 大阪瓦斯会社の設立
• 大阪瓦斯会社(現在の大阪ガス) は、1905年(明治38年)に設立されました。
• 当時の都市インフラとして「ガス」は、主に 照明用(ガス灯) として普及し始めていました。すでに東京では明治初期から東京瓦斯会社が活動しており、大阪でもようやく本格的に導入されたのです。

2. ガス事業と都市近代化
• 明治期、日本の都市は急速に近代化しており、ガス灯は「文明開化の象徴」とされました。
• それまでの照明は油ランプや行灯が主流で、ガス灯は明るく、街路や建物を一変させました。
• 記事にあるように「契約1万件超」は、都市住民や商人が強い関心を持っていたことを示します。

3. 社会的インパクト
• 開業披露として、中之島公会堂や岸松館で 実業家・議員・名誉職員を招いた宴会 を開いたことは、ガス事業が「大阪の新しい都市文明」として誇示されたことを物語っています。
• 同時に、これは 電気との競争時代の幕開け でもありました。
• 当時すでに大阪電灯会社が活動しており、電気照明とガス照明が競合。
• その後、大正期以降は照明分野は電気に譲り、ガスは調理・暖房用として進化していきます。

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